ツルムラサキの栽培方法(種まきから収穫まで)を野菜栽培士が画像を交えて詳しくご紹介します。
ツルムラサキの苗の植え付け方や収穫方法はもちろん、水やりと追肥の方法や病害虫対策まで。
ツルムラサキをプランターや露地で上手に栽培しましょう!
ツルムラサキ栽培
難易度 ★☆☆☆☆
ツルムラサキは熱帯アジア原産の高温と乾燥に強く夏場でも生育が良い葉野菜です。
土壌を選ばず病害虫に強いツルムラサキは、育てやすく家庭菜園初心者にはぴったりの野菜です。葉柄と葉を摘み取って長期収穫を楽しめます。
茎の色が赤くなるツルムラサキと茎の色が青くなるツルムラサキがありますが、主に食用として栽培するのは茎が青いツルムラサキです。
ツルムラサキは花が咲いても葉が固くならないので、長期間収穫を楽しむことが出来ます。長期収穫するために追肥と水やりを忘れずに行いましょう。
ツルムラサキに含まれている栄養は、ビタミンA・ビタミンB・ビタミンCの他、鉄分やカルシウムなどのミネラル類も豊富に含まれています。
カルシウムはホウレンソウの約4倍、ビタミンA・Cとも約1.3倍含んでいる健康野菜です。
ツルムラサキには独特の香りとぬめりがあるので、サラダなど生食には使えませんが、ぬめりのある食材(納豆・とろろ・もずく)との和えものやお浸しなどの料理と相性は抜群です。
ツルムラサキ栽培Menu
・ツルムラサキの栽培難易度
・栽培カレンダー
・ツルムラサキ栽培のコツ
・プランター栽培と土作り
・露地栽培の土作りと畝作り
・ツルムラサキの育てやすい品種
・ツルムラサキの種まき
・ツルムラサキの苗の植え方
・ツルムラサキの水やり
・ツルムラサキの追肥方法
・ツルムラサキの収穫
・ツルムラサキ栽培まとめ
・ツルムラサキの害虫対策
・ツルムラサキの病害対策
ツルムラサキの種まき適期は4月上旬~7月中旬、苗の植え付け適期は4月末~7月下旬まで。収穫時期は6月中旬~10月中旬です。
ツルムラサキを栽培するときのプランターサイズは標準タイプ(60㎝程度)以上のものを使用します。
ツルムラサキは株が直径50㎝ほどに広がりますので、日当たりを良くするために大きめのプランターで育てましょう。
大型の植木鉢でもツルムラサキを育てることも出来ますが、1つの鉢に1株としましょう。1つの鉢に苗をたくさん植えると収穫量が減ってしまいます。
ツルムラサキをプランターで育てる場合は、市販の培養土を利用すると袋から開けてすぐに植え付けができて便利です。
自分で用土を作る場合は、赤玉土7:腐葉土2:バーミキュライト1、これに石灰を用土10ℓ当たり10~20gと化学肥料を用土10ℓ当たり10~20g混ぜ合わせたものを利用しましょう。
植え付け前の準備として、市販のプランターにウォータースペースを残して、7分目までくらいまで培養土を入れておきましょう。
用土を入れ過ぎると、土寄せ(株元に土を寄せる)をする時に水やりや降雨の際に、プランターの縁より用土が流れ出てベランダが汚れてしまう原因になります。
露地栽培でツルムラサキを育てる場合は、植え付けの約2週間前に、苦土石灰を100g/m²を施して丁寧に耕しておきます。
ツルムラサキ栽培に適した土壌酸度(pH)は6.0~6.5です。このときに小石などの障害物があれば取り除いておきましょう。
植え付けの1週間前までに、1週間前に堆肥2㎏/㎡・化成肥料100g/㎡を施して土とよく混ぜておきます。植え付け前に幅60~90㎝・高さ10㎝の平畝を作りましょう。
苗を植える条数(列の数)に合わせて幅を調整してください。
苗を植え付ける1週間までには全ての土作りを完了させておきましょう。土作りが終わってすぐに苗を植え付けると石灰のアルカリ分が強く根を傷めてしまう原因になります。
ツルムラサキは種からも簡単に育てることが出来ます。発芽適温は20℃~30℃なので、発芽させるためにはある程度の温度が必要です。
ハウス内で保温するか気温が高くなる5月中旬以降に種をまくのがおすすめです。寒冷地や気温が低い時期はポットに種を蒔いて、ハウスなどの温かい場所で温度管理して発芽させましょう。
ツルムラサキは、種をまいてから5日ほどで発芽がはじまり、約1週間で発芽が揃います。
ツルムラサキの種は外皮がとても固く、水分を吸収しにくい構造になっています。
発芽率を高めるために、種を蒔く前の日にトレーなどに水を張って、一昼夜水に浸してから種を蒔きましょう。
種を畑に直接まく時は株間を30㎝~40㎝取り、1か所に付き3~4粒ほど種を点蒔きします。
直まきとポットまき共に、種を植えてから芽が出るまでの間は、用土の表面が乾燥しないように十分に水やりを行うのがポイントです。
ツルムラサキは本葉が2~3枚になった頃に、子葉の大きい茎の太い苗を1本だけ残して間引きましょう。
ポット蒔きの場合はポットに2~3粒ほど種を蒔いて本葉が3~4枚になったら間引きを行います。
最終の間引きは本葉が3~4枚になった頃で、このときに1本立てにして本葉が4~5枚になるまでポットで育てましょう。
シーズンになるとツルムラサキの苗がホームセンターや園芸店で販売されます。
栽培する株数が少ない時やプランターで育てる時は苗を買ってきて育てるのも良いでしょう。
ツルムラサキの苗は、子葉が大きく本葉の緑色が濃く茎が太くしっかりしているものが良い苗の基準です。
本葉が3~4枚まで育った苗を選ぶとすぐに植え付けが出来ます。害虫の食害跡があるものや病気にかかっている苗は避けましょう。
苗を植えつける時は株間を30~40㎝以上確保して、ポットより少し大きめの植え穴を掘り、根鉢を壊さないように丁寧にポットから取り出して植えつけます。
苗を植えつけたあとは、株もと周辺の土を手のひらで軽く抑えて用土と根を密着させましょう。根が活着するまでの約1週間は水やりを欠かさないようにします。
ツルムラサキは高温に強いのですが乾燥には弱い一面があるので、夏場の高温に備えてマルチシートや敷き藁(敷き草)などを敷くと乾燥から守ることが出来ます。
苗を植えてから2週間ほどするとグングン成長を始めます。大型のプランター(60㎝以上)なら2株まで、大型の植木鉢なら1株まで苗を植えつけることが可能です。
ツルムラサキはわき芽(側枝)を伸ばして収穫するので、主枝の草丈が30㎝(本葉が6~7枚)になった頃に摘心を行いましょう。
主枝の先端から10~15㎝下をハサミで切り取ります。摘心後は残った部分の葉の付け根あたりからわき芽が次々と伸びてくるので、そのまま伸ばして側枝から出る葉やつるを収穫します。
ツルムラサキは摘心をせずに主枝をそのまま伸ばして育てる方法もあります。その際は1~1.5mの支柱を立てて、1mほどまで主枝を成長させてから先端を摘心しましょう。
ツルムラサキは種をまいてから発芽が揃うまでの間は用土が乾燥しないようにしっかりと水やりを行いましょう。
水やりのポイントは種が流れてしまわないようにハス口をつけたジョウロで丁寧に行うこと。勢いよく水やりを行うと、種が表面に浮き出て発芽不良の原因になります。
ツルムラサキを苗から育てるときは、根付くまでの間は用土が乾燥しないようにたっぷりと水やりを行います。
苗が根付いたあとの水やりのタイミングは、用土の表面が乾いたときです。水切れを起こすと生育が悪くなるので用土が乾燥していたら毎日与えるようにしましょう。
ツルムラサキはわき芽が15㎝になったら収穫がはじまります。
収穫時期が遅れると葉が固くなるので、新芽(脇芽)が出たら若取りを心がけましょう。
つぎつぎと伸びるわき芽を2~3枚ほど葉を残して、先端から15~20cm程度のあたりをハサミやナイフで切り取って収穫します。
ツルムラサキの主に食用にする部分は若い葉や茎・つるです。
大きな葉や太い茎も食べられますが、アクが強く固いので加熱して使うなど調理方法を工夫しましょう。
ツルムラサキはさし芽から増やすことができます。地面に下りたつるの節からも発根するので、茎を切っておくと根が生えて新しい株が育ちます。
ツルムラサキには耐寒性はなく、夏が終わり秋になって気温が下がり始める頃には生育が衰え始めます。脇芽が伸びなくなると収穫は終わりです。
ツルムラサキは気温上がってから栽培をスタートさせるのが成功のポイントです。
気温が20℃を超えはじめる5月中旬以降に種をまく(苗を植え付ける)と上手に育てられます。
多数株育てる時は放任で育てると夏場以降は茎葉が生い茂りつるが絡み合って日当たりが悪くなります。収穫は茎葉を若取りして不要な葉は摘葉しましょう。
高温には強いのですが、乾燥にはやや弱い面があるのでマルチや敷き藁をして乾燥から守ってやりましょう。
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