ツルナの栽培方法(種まきから収穫まで)を野菜栽培士が画像を交えて詳しくご紹介します。
ツルナの苗の植え付け方や収穫方法はもちろん、水やりと追肥の方法や病害虫対策まで。
ツルナをプランターや露地で上手に栽培しましょう!
ツルナ栽培
難易度★★☆☆☆
ツルナ(蔓菜)はハマミズナ科の葉野菜。別名はハマヂシャ(浜萵苣)と言います。
太平洋沿岸(アジア、オセアニア、南米)の熱帯から温帯の海岸に広く分布する多年草では海岸の砂地に自生する海浜植物です。こぼれダネから発芽するほど生命力があり育てやすく初心者向けの野菜です。
ツルナの風味はホウレン草に似ていてオーストラリアでは「ニュージーランドホウレンソウ」とも言われる鉄分がトップクラスに含まれるビタミン・ミネラルが豊富な野菜です。
ツルナは天婦羅やお浸し・バター炒めなど、ホウレンソウ同様に美味しく料理して食べられます。
ツルナは小型のプランターや植木鉢でぐんぐん育ちますし、ベランダなど日当たりの良い暖かい場所で霜に当たらないように育てれば冬場でも栽培することが出来ます。
夏には花が咲き種が取れるので翌年以降もその種を使って栽培することが出来ます。
ツルナ栽培Menu
・ツルナの栽培難易度
・栽培カレンダー
・ツルナ栽培のコツ
・プランター栽培と土作り
・露地栽培の土作りと畝作り
・ツルナの育てやすい品種
・ツルナの種まき
・ツルナの苗の植え方
・ツルナの水やり
・ツルナの追肥方法
・ツルナの収穫
・ツルナ栽培まとめ
・ツルナの害虫対策
・ツルナの病害対策
ツルナの種まき適期は3月~7月まで、収穫適期は種まきから約1.5~2か月です。
ツルナを栽培するときのプランターサイズは小型タイプ(45㎝)以上のものがおすすめです。
ツルナは株の直径が30㎝ほどまで広がるので、1つのプランターに2~3株まで栽培できます。日当たりを好むので太陽光がよく当たる場所にプランターを置きましょう。
8号以上の植木鉢でもツルナを育てることも出来ますが、1つの鉢に1株までとします。1つの鉢に苗をたくさん植えると水分と養分を奪い合ってしまうためです。
ツルナをプランターで育てる場合は、市販の培養土を利用すると袋から開けてすぐに植え付けができて便利です。
自分で用土を作る場合は、 赤玉土6:腐葉土3:バーミキュライト1、それに石灰を用土10ℓ当たり10~20gと化学肥料を用土10ℓ当たり10~20gを混ぜ合わせたものをを利用しましょう。
植え付け前の準備として、市販のプランターにウォータースペースを残して、7分目までくらいまで培養土を入れておきましょう。
用土を入れ過ぎると、土寄せ(株元に土を寄せる)をする時に水やりや降雨の際に、プランターの縁より用土が流れ出てベランダが汚れてしまう原因になります。
露地栽培でツルナを育てる場合は、植え付けの約2週間前に、苦土石灰を150g/m²を施して丁寧に耕しておきます。
ツルナ栽培に適した土壌酸度(pH)は5.5~6.5です。土作りときに小石などの障害物があれば取り除いておきましょう。
植え付けの1週間前までに、1週間前に堆肥を2kg/m²・化成肥料を(15:15:15)100g/m²を施して土とよく混ぜておきます。植え付け前に幅40~60㎝、高さ10㎝の平畝をを作りましょう。
苗を植える条数(列の数)に合わせて幅を調整してください。
苗を植え付ける1週間までには全ての土作りを完了させておきましょう。土作りが終わってすぐに苗を植え付けると石灰のアルカリ分が強く根を傷めてしまう原因になります。
ツルナは種からも簡単に育てることが出来ます。発芽適温は15℃~25℃なので、発芽させるには気温が高くなってから。
気温が低い時期や寒冷地ではハウス内など保温した場所でポットに種をまいて苗を大きくしてから植え替えるのがおすすめです。
ツルナは種をまいてから10日ほどで発芽がはじまり、約2週間で発芽が揃います。発芽までは時間がかかるので気長に待ちましょう。
点まきするときは、株間を30~40cmで一か所あたり3~4粒ほど種をまきましょう。種を埋める深さは5mm~1cmです。
ツルナを間引き菜として利用しながら栽培する時は筋まきします。支柱などを使ってまき溝を作り、条間を10~15cm確保して種を1㎝間隔で並べてまきましょう。
ツルナの種は乾燥に弱いので、種をまいてから発芽が揃うまでの間は、用土の表面が乾燥しないよう十分に水やりを行うのがポイントです。
ツルナは発芽するまでに日数がかかります。家庭菜園に慣れなていない方や少数株を育てる方は、購入した苗からスタートさせると簡単です。
本葉が2~3枚になる頃(本葉が隣と触れ合う頃)に1回目の間引きを行います。
その後は葉と葉が触れ合う時に順次間引きましょう。間引き菜も美味しく食べることが出来ます。
ポットまきや点まきした場合は、本葉が3~4枚になったら間引きを行います。
点まきと筋まきとも、最終の間引きは本葉が3~4枚になった頃で、この頃に1本立てにします。ポットまきでは本葉が5~6枚になるまで育ててから畑に植え替えましょう。
シーズンになるとツルナの苗がホームセンターや園芸店で販売されます。
栽培する株数が少ない時やプランターで育てる時は苗を買ってきて育てるのも良いでしょう。
ツルナの苗は、子葉が大きく本葉の緑色が濃く茎が太くしっかりしているものが良い苗の基準です。
本葉が3~4枚まで育った苗を選ぶとすぐに植え付けが出来ます。害虫の食害跡があるものや病気にかかっている苗は避けましょう。
ツルナは太陽光がまんべんなく届くように、株と株の間隔を30~40cmほど確保して植え付けましょう。
小型プランター(45㎝以上)なら2株まで、植木鉢なら1株まで苗を植えつけることが可能です。
苗を植えつけたあとは、株もと周辺の土を手のひらで軽く抑えて用土と根を密着させましょう。
根が活着するまでの約1週間は水やりを欠かさないようにします。苗を植えてから2週間ほどするとグングン成長を始めます。
ツルナの苗を植え付けて本葉が7~8枚まで広がった頃に、株元から葉を4~5枚残して先端を摘み取ってわき芽を伸ばす作業をします。
また、夏以降に草勢が強くなって茎葉が固くなってきた時には「切り戻し」を行いましょう。ツルナは古い茎葉を摘み取ることで若い葉の発生が促され収穫量が更に増えます。
切戻しのやり方ですが、草丈の半分程度まで株全体の茎葉を切り落とすだけです。切戻したあとに追肥を施しておくと、新芽が次々と伸びて秋前まで収穫を楽しめるようになります。
ツルナの水やりですが、種をまいてから発芽が揃うまでの間は、土が乾かないようにこまめに水やりをします。
発芽して以降の水やりは、本葉が4~5枚になるまでは毎日水やりを行いましょう。その後は土の表面が乾いたタイミングで、たっぷりと水やりを行うようにします。
ツルナは乾燥に強く少々水やりを忘れても枯れてしまうことはありませんが、用土が乾燥しすぎると茎葉が固くなって食味が落ちてしまいます。
気温が上がる夏場以降は水やりはこまめに行いましょう。
ツルナは草丈が15cm以上になったときが収穫適期です。柔らかい茎葉が美味しいので、出来るだけ若い新芽を収穫しましょう。
ツルナは茎の上から10㎝のあたりをハサミやナイフなどで切り取って収穫します。夏場以降に大株に育ってからは、柔らかい蔓先の若い茎葉を7cm~10cmの長さで摘み取って収穫しましょう。
夏場以降は草勢が強くなって株が乱れてきます。
草勢が強くなりすぎて茎葉が固いと感じたら、半分くらいの草丈まで切戻して追肥を与えておくと、再び柔らかい茎葉が生えてくるようになります。
ツルナは晩秋になって気温が15℃を下回る時期でも寒冷紗などで覆ってやると冬前まで収穫を楽しむことが出来ます。
ツルナには耐寒性はなく、秋以降の気温が下がり始める時期になると生育が衰え始めます。脇芽が伸びなくなったら収穫は終わりです。
ツルナは発芽に2週間以上かかるので、育苗管理が出来ない人は市販の苗から育てると確実です。
ツルナは肥料が不足すると茎葉が固くなるので、14~20日おきに追肥をしっかり施してやりましょう。
大苗を植え付ける時は、植え付け時に4~5節残して先端を摘み取ります。主枝を摘み取るとわき芽の発生が促されて後の収穫量が増えるのです。
ツルナの株は最初は小さくても、生長するにつれ茎葉がどんどん拡がっていきます。極度の密植は日当たりと風通しが悪くなり害虫の住処になるので、プランターなど狭い場所に植える時は株間を最低でも20㎝は確保して植え付けましょう。
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