カラシナの栽培方法(種まきから収穫まで)を野菜栽培士が画像を交えて詳しくご紹介します。
カラシナの植え付け方や収穫方法はもちろん、水やりと追肥の方法や病害虫対策まで。
カラシナをプランターや露地で上手に栽培しましょう!
カラシナ栽培Menu
・カラシナの栽培難易度
・カラシナ栽培カレンダー
・カラシナ栽培のコツ
・カラシナのプランター栽培
・土づくりと畝作り
・カラシナの育てやすい品種
・カラシナの種まき
・苗の植え付け方
・カラシナの間引き方
・カラシナの水やり方法
・カラシナの追肥時期
・カラシナの収穫時期
・カラシナ栽培まとめ
・カラシナの病害対策
・カラシナの害虫対策
カラシナ栽培
難易度★★☆☆☆
カラシナはアブラナ科の葉野菜で、葉に切れ込みあってピリッとした辛みが特徴です。
カラシナは害虫の被害に遭いやすい面はありますが、収穫までの期間が短いため難易度は低めです。苗からなら初心者でも簡単に育てられます。
カラシナは春植えと秋植えができますが、簡単なのは秋まきです。寒さにとても強く、夏過ぎから秋にかけて種をまくと3月上旬頃まで外葉を摘み取りながらの収穫が楽しめます。
春まきはトウ立ちして花が咲くため、長く収穫を楽しみたい時は秋まきがおすすめ。
カラシナに含まれる栄養素はカロテン(ビタミンA)・ビタミンC・カルシウムを豊富に含みます。
料理のレシピは、お浸しや炒め物、鍋の具、漬物といった具合に冬の葉野菜として使い道は豊富です。家庭菜園で栽培してあると便利で使える野菜です。
カラシナの旬はとう立ちする前の2月~3月初旬まで。この頃が最も辛みが増してカラシナが美味しくなる時期です。
カラシナの植え付け時期は、春まきは3月下旬から、秋まきは9月上旬からです。(中間地)
収穫までは種まきから約1.5か月です。
カラシナを栽培するときのプランターサイズは、標準タイプ(60cm前後)のものを利用して育てましょう。
カラシナの株の直径は20~30cmで、60cmサイズのプランターなら2~3株を育てることができます。幅のあるプランターなら2列に植えることも可能です。
外葉を摘み取りながら収穫するときは、小型のプランターや植木鉢などでも育てる事ができます。
カラシナの栽培用土は市販の培養土を利用するとすぐに植え付けができて便利です。
自分で用土を作る時は、赤玉土6:腐葉土3:バーミキュライト1、それに石灰を用土10ℓ当たり10~20gと化成肥料を用土10ℓ当たりに10~20gを混ぜ合わせたものを用意しましょう。
プランターに入れる用土の量は、ウォータースペースを残して、鉢の縁から3~5㎝程度にしておきます。
用土をプランターの淵まで入れると水やりや降雨の時に流れ出して周辺を汚してしまうので注意しましょう。
また、まし土(用土を足すこと)をするときのことを考えて少なめにしておきます。
露地栽培の土作りは、植え付けの約2週間前に、石灰を150g/m²、堆肥を2kg/m²、化成肥料を(15:15:15)100g/m²を畑に施します。
畝を作るときは、幅40~60㎝、高さ8~10㎝の平畝を作りましょう。
カラシナは種をまく(苗を植え付ける)1週間までには全ての土作りを完了させておきましょう。土作りが終わってすぐに苗を植え付けると、石灰のアルカリ分が強く根を傷めてしまう原因になります。
カラシナの品種は豊富で、メジャーなものには「葉からし菜」「ちりめんからし菜」「リアスカラシナ」などがあります。
中でもプランター栽培で育てやすい品種は「葉からし菜」「黄カラシナ」。
基本的にはどの品種を選んでも上手く育ちますが、春植えと秋植えがあるので、それぞれに適したものや栽培地の気候(寒冷地・温暖地・中間地)に合わせて品種を選ぶのが成功のポイントです。
カラシナの種まき時期は春まきが3月で、秋まきが9月以降、年に2回の種まきができます。
カラシナは暑さに弱いので、春まきするときは気温が高くなる前(25℃以下)に収穫できるように計算して種をまきましょう。(収穫までは種をまいてから50~60日かかります。)
カラシナの種は一度に全ての種をまいてしまわずに、少しずつ時期をずらしてまくと、長期間に渡って収穫を楽しむことが出来るのでおすすめの方法です。
プランターに種をまくときは、棒などを押し付けて5㎜のまき溝をつけます。10~15㎝の間隔が取れれば2列植えもできます。
種は1㎝間隔で1粒ずつまいていきます。粒が小さいのでまき過ぎないように注意しましょう。
小さいプランターや植木鉢で栽培するときは、1か所あたり5~7粒ずつ点まきでもかまいません。
露地栽培で畑に植える場合は畝幅40~60㎝、高さ8~10㎝とし、条間を20㎝取って種は1~2㎝の間隔ですじ撒きとします。支柱などを使ってまき溝(深さは5㎜)をつけると種をまきやすくなります。
カラシナを露地で栽培するときや気温が低い春まきでは、種まきから発芽させるまでの水と温度の管理が難しいので、ポットまきがおすすめです。
ポットに種を3~5粒ほどまいて、本葉が4~6枚になるまで育ててから定植します。
気温が低いときはビニルハウスや衣装ケースの中で発芽適温(日中の気温15~25℃)をキープしながら育苗しましょう。
カラシナの種が発芽しない原因はいくつかありますが、主な原因は発芽までの乾燥と光量不足です。
カラシナの種をまいたあとは、新聞紙や不織布(キッチンペーパーでも代用可能)などを被せておき、発芽までの乾燥を防いでやりましょう。
カラシナは好光性種子のため、種を地中深くに埋めてしまうと発芽率が悪くなってしまいます。まき溝周辺の土を指でつまみ、薄めに覆土してやりましょう。
カラシナの種が発芽しない時にチェックすることは、種を深くまき過ぎていないか、種まき後から発芽までの水やりを行っているか。種は浅くまいて発芽が揃うまでは水を切らさないようにする事が大切です。
カラシナは移植(植え替え)ができる野菜です。植え付けの季節になるとホームセンターや園芸店などで植え付け用の苗が販売されています。
苗が小さいと移植に失敗しやすいので、慣れないうちは本葉が4~6枚のものを選びましょう。茎葉が濃い緑色で虫食い跡がなく病気に掛かって枯れたり萎れたりしていない苗が良品です。
苗を植え付ける時は、植え付ける場所に根鉢(ポット)より一回り大きめで根鉢の上部が少し出る高さの植穴を空けておきます。
根鉢を壊さないようにポットからそっと取り出して穴の中に置きます。
苗を植え付けた後は根と用土を密着させるため、周辺の用土を根元に寄せて手のひらで軽く押さえておきましょう。
プランターに苗を植えるときは、プランターに入れる用土の量をポットの高さの分だけ少なくしておき、ポットをおいて後から周辺に土を入れるようにすると簡単です。
苗を植え付けたあとは、苗が根付くまでたっぷりと水を与えましょう。苗が根付くと茎葉が勢いよく成長を始めます。
カラシナは合計で3回ほど間引きを行います。間引くタイミングは葉が触れ合ったとき。
間引きは苗が小さい時は手で抜き取りますが、大きくなって根が絡まっているときは、根元からハサミで切ってもかまいません。
この理由は、株ごと抜き取ると隣り合う株が一緒に引き抜かれてしまうのを防ぐため。
1回目の間引きは発芽が揃ったときです。隣り合う葉が重なったものを中心に間引きましょう。
小さな苗は、病気で枯れたり、虫に食べられたりすることがあるので、早い時期から1本にしないことがポイントです。
2回目の間引きは本葉が3~4枚になった頃、3回目は本葉が6~7枚になった頃が間引きのタイミングです。生育の悪い株や傷んだ苗を中心に間引くようにします。
ちなみに抜き取った間引き菜は、薬味や吸い物の具として利用できます。
カラシナの種をまいた後は発芽するまでの間は土が乾かないようにたっぷりと水やりを行いましょう。
発芽して本葉が出たあと(または苗を定植して根付いたあと)は、土の表面が乾いたときにたっぷりと与えます。
春以降は午前中の涼しい時間帯に、秋以降は気温が上がり始める時間帯に与えましょう。
カラシナは寒さに強く冬場でも成長を続けるので、必ず水やりをします。用土が乾きすぎると、葉が固くなったり生育が悪くなったりします。
カラシナの追肥方法ですが、窒素分の多い葉野菜用の肥料を葉の色や株の成長具合を見ながら適量与えます。
プランター栽培では最終の間引きが終わってから、2~3週間に1回のタイミングで、即効性の化成肥料を、1株当たり5~10g与えましょう。プランター栽培では水やりをかねて週に1回、液肥を与えてもかまいません。
露地栽培では最終の間引きが終わってから、即効性の化成肥料を1回に付き30g程度、収穫が始まるまで2~3回ほどの頻度で与えます。
化成肥料の代わりにぼかし肥または鶏糞を一掴み条間に撒くのも効果的です。
追肥は株の周辺にまき、根を傷めないように表面の用土と軽く混ぜてから株元に寄せておきましょう。
カラシナは草丈が25~30㎝になったら本格的な収穫適期です。種をまいてから50~60日ほど。
株元を掴み根の付近を掴んで引き抜いて収穫しましょう。
収穫適期を過ぎたカラシナ(芥子菜)は次第に葉が固くなっていきます。摘み取って収穫するときは外側から必要な分だけちぎり取って収穫します。
サラダなどに使う柔らかい葉は中心から伸びますが、一気に摘み取ると株が弱ってしまうので、葉の勢いを見ながら少しずつ摘み取るようにしましょう。
サラダなど生食に使う場合は、草丈20~25㎝までのものが葉も柔らかく美味しく食べられます。固くなった葉も鍋の具やおみそ汁の具に使うと美味しく食べられます。
春先になると塔立ち(主枝が伸びて花が咲く)しますが、蕾の先端を摘み取ってお浸しや卵とじに利用することが出来ます。
春になってとう立ちすると収穫時期もいよいよ終わりです。葉が固くなるのでナバナを楽しみましょう。そのまま株を放置しておくと夏前には種取りも楽しめます。
カラシナは株が大きくなればなるほど葉は固くなりますので、使い道によって収穫時期を変えるようにしましょう。
カラシナ栽培で収穫までたどり着く最大のポイントはなんと言っても害虫対策です。
寒冷紗掛けなど害虫対策を万全にして栽培しましょう。
秋まきは収穫期間が秋から春までと長期に渡るので、植え付け前の元肥は多めに施しておき、収穫のたびに追肥を行うことが大切です。
カラシナに発生しやすい病気は、菌核病・白さび病・尻腐れ病・立ち枯れ病・苗立枯病・軟腐病・黒腐病などです。
プランターで栽培する時は、日当たりの良い場所で育て鉢底に鉢底石などを敷き詰めて排水をしっかりとおこなう様にしましょう。
カラシナは、排水が悪く酸性土壌になると病気が発生しやすくなります。栽培環境を整えることが病気の発生を予防することに繋がります。
カラシナの生育初期は害虫被害に遭いやすいので注意しましょう。
カラシナに良く発生するのは、アブラムシ、ヨトウムシ、アオムシ、コナガ類、カブラハバチ、ハイマダラメイガなどのアブラナ科を好む害虫です。
とくにアオムシ系(モンシロチョウの幼虫やコナガ)は駆除せずに放っておくと一晩で苗が全滅することもあります。
「葉に穴があいていないか」「食いちぎられた食害跡がないか」をよく観察しましょう。
害虫を発見したら早め駆除し被害の蔓延を防ぎましょう。
春の気温が高い時期や苗が小さいうちは、寒冷紗などをかけて害虫の飛来を防ぐのも有効な対策です。
アブラナ科に集まる害虫はキク科の野菜を嫌います。混植すると害虫の退避効果があるので、レタスやシュンギクなどキク科の野菜と一緒に植えるのもおすすめです。
▷簡単!野菜の育て方 Kitchen Garden Textbook!